時間もあることだし、教会には徒歩で行こうということになった。ランサーは霊体化している。
「しかし、またこうして3人でこの橋を渡るとは思わなかったな」
「そうねぇ〜。センバーなんてあのとき黄色いカッパを着せられて……ぷっ」
「凛。あれはシロウが」
「いや、あの鎧姿で街を闊歩するわけにもいかにだろ」
「あれはシロウが悪い。せめてもシロウの服を貸してくれればよかったではありませんか」
「なんだよそれ。セイバーだって、カッパならいいって言ったじゃないか」
「それは、シロウがカッパしか私に選択肢を与えなかったから仕方なくですね」
「あははっ。ホント傑作よね。甲冑の上に黄色いカッパって、逆に目立つじゃない」
「まぁ、なんだかんだでセイバーに似合ってたし、かわいかったからいいんじゃないか?」
 セイバーは顔を真っ赤にして反論してくる。
「なんですかそれは。いいはずがないでしょう!!」
「あらそう?セイバーだってあのとき文句一つ言わなかったわよ。今更士郎を責めるのもひどいんじゃない?」
「そうだぞセイバー。それに、今となってはいい思い出じゃないか」
「これ以上は私に対する侮辱と取りますよ」
 うわっ。本気で怒ってる。
「ごめん。悪かったよセイバー」
「そうね。少し言い過ぎたわ」
「分かればいいのです。もう、あれは忘れてください」
 まぁ、何とかセイバーが聖剣を使うことは回避されたようだ。
「でも、そう簡単にあの姿は忘れられないわね」
 遠坂、懲りてないし……
「それに、セイバーもこのままじゃ気が済まないでしょ」
 ……なんか、嫌な予感がする。
「そうですね。シロウは、幾度となく私を辱めていますからね」
 二人の視線が突き刺さる。
「セイバー、わたしにいい考えがあるんだけど」
 やばい……
「なんでしょう?」
 これは、絶望的だ。
「士郎がセイバーに新しい洋服を選んであげるのはどうかしら?それなら、士郎もリベンジになるわけだし、セイバーも納得がいくでしょ?もちろん士郎のおごりよ」
「それはいいですね。是非ともそうしたい」
 もちろん、拒否権はありませんよね……聞くまでもなく。

 

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