「それで、遠坂は誰を召喚するつもりなんだ?」
「アンタにセイバーを譲ったから、まだ決まってないわよ」
 心底不満そうに遠坂はそう答えた。
「俺はセイバーのマスターを譲るつもりはないぞ」
「わかってるわよ。そうね、ランサーにしようかな」
 アーチャーじゃないのか?
「アンタね、アーチャーを召喚するわけないでしょ」
「俺今、口にだしてたか?」
「口で言ってなくても、顔に書いてあるわよ」
 うっ。そりゃどうしようもない。
「でもどうしてアーチャーにしないんだ?なんだかんだ言って、遠坂とアーチャーは息が合ってただろ」
 遠坂はため息をつき、答えた。
「アンタはわたしがアーチャーを召喚していいわけ?」
 そりゃよくないけど……
「それに、魂の起源は同じでも、前回召喚したアーチャーと今回召喚するアーチャーは全く別の存在なのよ。そんなヤツを召喚したら、またアンタ達は殺し合いをはじめるでしょ」
 言われてみればその通りだ。
「悪い。俺が浅はかだった」
「分かったのなら、もうその話はいいわ。それより、わたしはランサーを召喚しようと思うんだけど、士郎はどう思う?」
 ランサーか……
「いいんじゃないか。アイツけっこう……いいヤツだったし」
 そう言う俺の顔を、遠坂はじっとのぞき込んできた。
「あれ?士郎もしかして焼餅焼いてる?」
「なっ。そんなことはないぞ、決して……」
「そう?でも少しは妬いてくれてるんでしょ」
 卑怯な……。頬をうっすら赤らめながらそう聞かれたら、本当のことを言わざるを得ないだろ。
「………ああ。そうだよ」
「えへへ。けっこう嬉しいかな……」
 ……遠坂、その反応は反則だ。
「でも、アンタだってセイバーを召喚するんだから、わたしがランサーを召喚することぐらい我慢しなさい」
「そっ……そうだな」
 セイバーを引き合いに出されては、そう答えるしかなかった。
「ところで、士郎」
「なにさ?」
「なんで士郎の周りにはかわいい女の子が多いのよ」
 遠坂の突然の言葉に、俺は言葉を失ってしまった。

 

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