キーンコーンカーンコーン。現在、六時間目が終了。
「ふぅ、終わったか今日も」
 朝の凛の恐怖の笑顔から解放されて一通りの授業を受けたあと、昼はいつもの通り凛と一緒に弁当を食べて、やっと六時間目が終了。あとは帰りのSHRのみだ。
「やっほ〜。それじゃはやく終わらせて放課後にしましょう♪」
 藤ねえ、元気だな〜これも体育祭のせいか?
「それじゃ、連絡事項ね。まずは………なんだっけ?………あ、そうそう体育祭の時間とその時の服装っと♪」
 藤ねえは上機嫌で黒板に書いていく、そしてすべて書き終わり……。
「それじゃそういうことで、号令」
「起立、礼」
「バイバ〜イ」
 スキップしながら出て行った。ホントなんなんだろう?SHRも終わり、俺も今日は帰ろうとすると……。
「あれ、衛宮、部活来ないのかい?まあ、僕が行けば十分だけどね」
 慎二がそう言ってきた、まあ今日は暇ではあるけど……。少し困って凛のほうを向くと、凛は俺を睨んでいた………。
「帰るよ、今日はさ」
「あはは、流石の遠坂も独り占めしたいんだろう。それじゃ間桐あたしらは行くぞ、それと生徒会長もそんな唸ってないで、さっさと行った」
 美綴は慎二と一成の二人を追い出してしまい、ラストに……
「それじゃあな、新婚夫婦の倦怠期のお二人さん♪」
 そう言って、出て行ってしまった………おーーーーーーーーい。全然違うぞ、実際あの後、ただ甘えてきたりジト目でずっと見られていただけだ。
「ふふ、綾子もやってくれるじゃない、え、誰が倦怠期ですって、わたしたちはいつでも新婚よ………ふふふ、ふふふふふふ」
 こ、こえぇ〜。いつものメガネを持ちながら、ブツブツ言ったいた。その姿はまるで桜の様だった。
「いいわ。士郎、帰りましょう。今日はスーパーの特売でしょ!」
 凛はなにかを吹っ切ったように、俺に笑顔を向けてそう言った。
「ああ、そうだな。それじゃ帰るか」
 そして俺は手を差し出した。
「アラ、今日はエスコートしてくれるのかしら、衛宮くん?」
 いやいや、いつも凛が手を握ってくるんじゃないと思いながら、俺は握り
「ああ、その代わり俺しかエスコートさせるなよ………」
 自分で言って、自分で自爆してしまった。自分でわかるほど顔が熱い。これでは凛になんて言われるか
「…………………………」
 って、あれ?
「あ、あのう凛さん………リ〜ン〜」
「はっ!何いきなり言ってるのよ、このバカ!!」
 後頭部を叩かれました。しかも思いっきり。
「痛っ、いきなり何するんだよ凛」
「う、うるさい、うるさい。さっさと行くわよ」
 そしてもう一度手を繋ぎなおし、俺を引っ張って行った。俺、なんかしたか?
 
 
Side 凛
 
今、わたし達は下校途中のスーパーに向かっています。だけどさっきのはビックリしたわよ、ホント。この朴念仁、いつもわたしから手を繋ぎにいっているのに今日に限っていきなり手を繋ぐから、ちょっとおちょくろうと思ったら、なによいきなり「ああ、その代わり俺しかエスコートさせるなよ………」よ、どこでそんな言葉………そうねそうなのねアーチャー、彼方わたしが居ない間に士郎に変な言を植えつけたのね。
「それにしても最近じゃ、この視線にもなれたな………またか、おーい凛」
「えっ、そ、そうね。士郎なんて最初は針のむしろだ、とか言ってげんなりだったわね」
 ああ、なんでこいつはこういつもわたしを狂わせてくれるのかしら………これは今日の授業で清算しなきゃ。
 
Side out
 
 
“ブルッ!!”
 な、なんだ今の寒気は。そしてなんだその笑顔は凛。俺はなんか今日も大変になりそうだな。
「だけど士郎も結構な有名人じゃない、最近特に。」
「いや、それは凛の彼氏っていうのが大きいような………」
「あら、そうかしら。わたしの耳にはこうも聞いているのだけど。弓道部の生徒顧問、はたまた生徒会のボランティア、はたまたピンチの時に来てくれる、“かっこいい”先輩」
 悪魔の笑顔で俺の腕に絡んでくる。…てか、痛い、痛いです凛さん。そんなに俺の腕を締めないで。
「い、いやまて、凛。弓道部のは藤ねえを黙らせるためだし、それに生徒顧問って凛の考案だろうが。生徒会は一成の手伝いをしてるだけだし……あと、最後のは知らないぞ俺」
 そして盛大にため息をついた凛。
「流石は士郎。人助けしてここまで普通だ言い張るともう怖いわね。それにしてもかっこいい先輩ってどういうことかしら、これは桜と共同戦線を張って調べないとね。ね、衛宮くん?」
「あははははは、お、お手柔らかに………はぁ〜」
 時間が過ぎ、夕ご飯の時間になった。そして丁度良く……。
「たっだいま〜お姉ちゃんのご飯は大盛りでお願いね士郎」
「お邪魔します、先輩、姉さん」
「お邪魔するぞう、遠坂、衛宮」
 意外にも美綴が来ていた。これは意外だった。しかしさらに意外なことが起きた。
「ふむ、失礼するぞ、衛宮」
 俺はすぐに玄関の方まで行き確認すると…。いつもの藤ねえ、それに桜、さらに美綴、そして一成だった。
「て…………一成どうしたんだ、うちになんて?」
「ああ、それがな。俺も帰ろうとした時に丁度弓道部が終礼をしていてな、帰りが一緒になったのだ。それでな今、柳桐時の修業僧、それに親父は山に行っていていないと言ったら、藤村先生がそれならうちに来たらと言われて、お言葉に甘えた次第だ。迷惑だったか?」
「あ、全然大丈夫だ。今日はマーボー豆腐なんだが、大丈夫か?」
「ああ、これでも好き嫌いはないのでな」
 そして、料理が終わったらしく、凛も来た。
「あれ、義姉さんに桜はわかるんですけど、なんで居るのよ綾子それに………柳桐くん?」
「な、なぜここに居る、遠坂!!そ、それより」
 一成は俺たちを指差しながら驚愕していた………どうかしたのか?桜や藤ねえは既に靴を脱いで居間に行こうとしているし、それに美綴は……って美綴は、お腹を抑えていた。
「く、ぷぷぷぷぷぷ、あはははあはははははあっはあははははははははは。あんたらやっぱ最高だわ。凄い、うん凄いよあんたら」
 そして当の俺たちは……。
「「…………???」」
 意味が分からなかった。そんな俺たちの反応を見て、美綴はこう言った。
「いや、まさかお揃いのエプロンで迎えてもらえるとは思わなかったよ、あたしは」
「「あ………………」」
 いつものメンバーに、無言の圧力を放ち続ける一成と笑いが収まらない美綴を迎えて、今日も賑やかな夕ご飯になった。
  

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