さて、今日も学校が始まり、始業のチャイムが鳴るが……来ないなうちのトラ……もとい藤ねえ。
「うむ、藤村先生はいつになったら来るのだろうな、今日は一時間目を使って今度の日曜に行われる体育祭について、いい加減生徒会としてもエントリーを済ませたいのだが」
 後ろの一成が愚痴を零していた。すまないな。
「そういえば、遠坂は今年はなにかに出るの?」
 その時、俺の左斜め後ろの美綴が凛に話しかけていた。
「あら、美綴さんこそなにか出場しないのですか」
 ああ、出た出た、この変な争い。
「ああ、あたしか………そうだな、たしか部活の出し物には出ないといけなかったな。まあそれは来年の部長の間桐がどうにかするだろうけど」
 ああ、そういえばもう、二学期だ。すでに部活は世代交代の時期か。そんなこと思っていた時に、不意にドアが思いっきり開き……。
「みんな〜、今日は体育祭に勝つための戦力を考えるぞ〜い!!」
 トラの如く教室に入ってきたのは、テンションだけならあの英雄王すら凌ぐそれはもうある意味偉大な英語教師、藤村大河、うちの担任だった。
「そういう訳で、生徒会長兼総務委員の一成くん、よろしく」
 結局、一成に押し付けていった。
「はぁ。それでは、まず、今から選手の選出をしたいとおもいます」

そして書かれた黒板にはこうあった。

・100メートル走

・綱引き

・クラス対抗リレー

・借り物競争

・玉運び

・障害物競走

・二人三脚

 そしてこれはなんだ?

・お姫様抱っこリレー!?
 

 書き終えた後に一成が俺を見て、ため息をついた………俺がなんかしたっけ?
「以上が、今回の体育祭の種目だ。あと、最後のものは、今回募集した生徒の特別種目だ、反論は聞かん、以上!」
 そして、俺らは話し合いになった。
「そんで、衛宮はなににでるんだ?」
「そうね、士郎。今日の朝も聞いたときは誤魔化されちゃったし」
「ああ、俺か………俺は」
「あ、そうだ一言言い忘れてきたが、体育祭で優秀な成績を残したクラスは、俺も聞かされてないんだが学校側からなにか賞品があるらしいぞ」
 一成がそう言うと、なぜかクラスの大体のメンバーの目が光った、てか・・・・・・藤ねえが一番光っている。
「ふん、おい総務委員、僕をクラス対抗リレーに入れといてくれ」
 慎二が勢いよく手を挙げていた、まあ運動神経はいい方だから
「はい、採用!!」
 藤ねえがすぐに決定させた。そして100メートル走は陸上部の蒔時になった。綱引きは大体の男子が入った。障害物競争では……
「あっそれ、あたしがやるよ」
 意外にも美綴が手を挙げた。
「あら、綾子。意外ね」
「なに、部活も引退したしね。なんかに参加した方がいいじゃない?」
 そしてどんどん黒板に名前が挙げられて、そして残ったのが。
「うんうん、残りはクラス対抗が二人と、二人三脚、それと借り物競争と………お姫様抱っこリレーだな」
 いやいや、なんでその最後を言うとき俺を見るんだ、一成。
「それじゃ、柳洞くん。わたしは、借り物競争に出ようかしら?」
「な、なに。め……遠坂が………」
 

「はいは〜い採用ね。あと、遠坂さんはこれもやってね」
 そして、藤ねえが黒板に、遠坂の名前を書いた………お姫様抱っこリレーに。そしてそれを書いた瞬間に、一斉にクラス全員が俺の方を向いた。
「わ、わかったよ、やるよやりますよ」


 もう……………やけです。


「そうか、助かる。後は………二人三脚と対抗リレーか。うむ、俺も入っていなかったな」


 そして一成は、対抗リレーに入った。そして慎二が……。
「なら、後は衛宮が対抗リレーに入ればいいじゃないか」
「いいこと言うじゃない、間桐君。そうね、というわけで士郎もそれに入れておいて」
「あ…………はい」
 藤ねえに言われ、一成は俺の名前を対抗リレーの欄に書く。一成の目線は“すまない、衛宮”と語っていた。

 そして、残りは二人三脚。

「なら、あたしが入ろうか、柳洞?」
「美綴、頼めるか?」
「ああ、いいよ。ただ、相手は生徒会長殿とがいいんだけど?」

 うわっ、その顔は赤い悪魔と同じ顔………

「ん?分かった、それでは俺が入ろう。これで全員入っているな。藤村先生、全員エントリーしました」

 これで、全員決定した、まあ俺が出るのは、クラス対抗リレーと………お姫様抱っこリレー。はぁ〜
 

“キーンコーンカーンコーン、キーンンコーンカーンコーン”


 あ、一時間目が終了だな。
「は〜い、それじゃあ、皆、頑張っていこう!!」
 そしてトラは………消えていった。
「なんなのかしらね、一体」
「凛、藤ねえの脳内を理解するのは不可能に近いぞ」
「それも、そうね。だけど士郎が対抗ね〜。楽しみにしてるわよ」
 いやいや、凛。どちらかというと俺はおまえと一緒にやるお姫様抱っこリレーの方が不安だよ。
「お、ご両人は、今日の献立か?」
「あら、それはどういう事かしら、綾子」
「なに、あんたらが、あの伝説の廊下キスから、まったく周りを気にせずにいちゃつき始めて、早三ヶ月。噂じゃ、夏休みも色々あったそうじゃないか?」
「あら、別に士郎はわたしの物なのだから、いいじゃない。それに別に他人の目なんて気にしないし。ね士郎?」
「俺は少しぐらい…………なんでもありません」
 こわいこわいこわいこわいこわい。あの顔は怖い。
「衛宮も大変だな。それと貴様が競技に出るとは、当日雪でも降りはしまいな?」
「あら、柳洞くん。わたしが出るのはいけないのかしら?それにわたしの夫が出るのよ、それを妻として当然、出なくてどうするの?」
 て!!おいおい、いきなりなにを
「く、く、く。衛宮、ホント大変そうだね〜僕も同情はしていてやるよ。それと廊下にいるあの一年、お前に用らしいぜ」
 そして、慎二が俺らの話に入ってきたのだが、なんでも俺に用がある、なんだろう?

 

Side 凛

 またか…………

「お〜い遠坂、顔が怖いぞ」
「うるさいわね、綾子。どうせ弓道部の子でしょ、大体慎二が士郎を呼ぶときなんて最近じゃそれしかないじゃない」
「まあ、まあ、うちの顧問を黙らせるために、衛宮が弓道部の手伝いをするって言ったんでしょ?けど不思議だよな、弓道部の手伝いはするのに、弓は一向に引いてくれないのよ。偶に桜にアドバイスをしていて、最近じゃ生徒顧問だっていうのにさ」
 やっぱり士郎は弓を引かないのね、ふふふ、まあそれはわたしが駄々をこねた…………相談した結果なんだけどね。あれはわたしだけの士郎の顔なの。最近ますます、かっこよくなちゃったって。まあわたし的にはうれしさ半分、憎さ半分なんだけど。
「うむうむ。衛宮は本当に僧の手本になれそうだな」
 なに、狙っているのよ、あの生徒会長。
「お〜い、遠坂。はぁ〜聞いてないよ。」

 今日も今日で遠坂凛は、二年間築き上げた、優等生キャラを壊していった。

Side out


「ああ、それじゃあ」
 弓道部の事で話が終わり、俺が戻ると
「あ、あれ、り、凛?」
 そこには赤い悪魔、改め赤いゼウスが居た。
「あら、終わったのかしら、衛宮くん?」
「あはは、あはははははは」
 そして俺は赤いゼウスに連れられて行った。
「遠坂、残り五分だからな」
 後ろから美綴の声が聞こえた…………はぁ〜。
 
 今日も今日で、衛宮士郎は、最愛の人に屋上へと強制連行されるのであった。
  

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