「あなた方はいつまでそうしているのですか?」
  遠坂と抱き合って、裕に5分は経っていた。セイバーの声に反応し、二人で思わず突き離し合ってしまい、同時に尻餅をついていた。
「オマエら、ホントに息が合ってるな」
  ランサーも呆れた表情で苦笑していた。
「シロウ〜〜〜〜」
  突如、上空から銀髪ロリっ子が降ってきた。
「うわっ、ちょっ…イリヤ危ない」
  頭から落下してくるイリヤを全身で受け止めた。
「シロウ、ナイスキャッチ」
  顔を上げると満面の笑みでこちらを見るイリヤの姿があった。
「危ないだろ、イリヤ!」
「危なくないよ。シロウなら受け止めてくれるって信じてたから」
  一体どこから湧いた自信なのだろうか?
「シロウ」「士郎」
  ギロリと二つの視線を感じた。
「いつまでそうしているのですか」「いつまでそうしているのかしら」
  騎士王と赤い悪魔の仁王立ちは、まさに圧巻であった。
「まぁ、いいじゃねえか。取り敢えず、つまんねえことでケンカしてねえでさっさとズラかろうぜ」
  グッドタイミングでランサーの声が聞えた。エクスカリバーとガンドの嵐からは何とか逃れたようだ。
「アヤコは私が運びます。」
「そうね。綾子はセイバーに任せるわ。キャスターのマスターが意外と優秀なのか、敵の使い魔は一切入り込んでないみたいだけど、念のために、認識阻害の魔術を全員にかけたらすぐここを出るわよ」
  何がともあれ、なんとか無事に一戦目を終えたようだ。キャスターのマスターも片腕を失い、気を失っているが、自分自身で治療して命には別状がないみたいだし、今回の戦いでは犠牲者が出なかったみたいだ。運が良かったの一言で片付けることもできるが、少なくとも正義の味方を目指す俺にとって大きな一歩になったことには違いない。

 

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