「瑞穂さん。ただいま到着いたしました」
「待っていましたよ。奏ちゃん、薫子ちゃん、お久しぶり」
「瑞穂さん。お久しぶりです」
「瑞穂お姉さま。お久しぶりなのですよ」
「お初にお目にかかります、宮小路様。私はケイリ・グランセリウスと申します。本日は全く面識のない私を招いて頂き、加えて長期の滞在までも許して頂いたことを深く感謝いたします」
「かわいい妹の頼みごととあっては、聞かないわけにはいきませんからね。ですので、私は当然のことをしたまでですよ。それと、私のことは名前で呼んでもらってかまいません。むしろ、そのほうが私にとっても嬉しいですね。よろしくお願いしますねケイリさん」
「それでは瑞穂と……いや、そう呼ぶと気分を害される方もいると思うので、瑞穂さんと呼ばせてもらいます」
「私は呼び捨てでもかまわないのだけれど……」
「あ、いえ、ここにいる方々で私を咎める人はいないかもしれませんが、学校の方々が黙っていないので……」
「そういえばケイリ、あたしのことすら人前ではさん付けするようになってない?」
「ええ。全く、仕方がないんだ。前にうっかり薫子って呼んだら部屋中の一年生が静まりかえったし、奏を呼び捨てで呼んでしまったときなんか周りにいた人たち全員に睨まれたりもしたから、さすがに懲りたんだよ」
「ただそれは学校での話でしょう?ここではケイリちゃんが一番話しやすい話し方でいいですよ」
「そうですか。では、瑞穂と呼ばせてもらってもいいかな?」
「いいですよ。居間の方で皆が……って、来ちゃったのね。」
「やっほー。二人は久しぶり。ケイリちゃんは初めましてだね。あたしの名前は御門まりや。まぁ、瑞穂ちゃんと同じようにまりやって呼んでね。よろしく」
「お二人ともお久しぶりです。ケイリさん、初めまして。私の名前はかぶっ……厳島貴子です。私も特に呼び方はこだわりませんが、名字で呼ばれるのはあまり好きではありませんね。皆さんと同じく名前で呼んでいただけると嬉しいですわ」
 というように二人が挨拶をしている目の前で、おぼつかない足取りで奏を襲う人がいた。
「奏ちゃん。会いたかったですわ」
「はわわ」
 奏は紫苑の懐にぎゅっと抱きしめられた。
「紫苑さん!それ以上は、奏ちゃんが窒息してしまいますよ!」
「あら、ごめんなさい。奏ちゃんがあまりにもかわいらしいのでおもわずぎゅっとしてしまいましたわ」
「紫苑お姉さま。お久しぶりなのですよ。奏も会いたかったのですよ」
「お久しぶりです、奏ちゃん、薫子ちゃん。ケイリさんとは初対面ですわね。私の名前は十条紫苑です。私のことも瑞穂さんと同じように扱ってくれてかまいませんわ」
「なんだか皆、私を利用してません?」
「気にしない、気にしない。まぁそれよりも、今この別荘にいるメンバーはこれで全員だからよろしくねケイリ」
「ええ、皆様よろしくお願いします。しかし、薫子と奏のまわりには面白い方がたくさんいるね。それに、皆優しくてしっかりしている。占った通りだ」
「へぇー。ケイリって、占いやるんだ。なんか圭みたいね」
 まりやの言葉に紫苑が答える。
「そういえば、圭さんとケイリちゃんって、名前が似てますわね」
「「「「「…………」」」」」
 なんとも答えにくい絶妙なボケであった。

 

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